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『ムーミン谷の仲間たち』 [ヤンソン作品(原作)]

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九つの話の詰まった短編集です。

「春のしらべ」
一人の時間を楽しんでいたスナフキンに、「春のしらべ」 が訪れます。
そのイメージを曲にするのを邪魔したのは…
はい虫とスナフキンのこと。
他との関わりについて、ちょっと考えてしまいました。

「ぞっとする話」
ホムサの兄弟の話。ミイのついた嘘の話。
難しくて、何度も何度も繰り返して読みました。
現実と虚構が交差する話なので、その世界観に戸惑ってしまうかもしれません。
実態の無いもの。それを想像するとき… 背筋が寒くなるのかも。
難しい、恐いと考えていたことも… 実際には、笑ってしまうことなのかも知れませんね。

「この世の終わりにおびえるフィリフヨンカ」
自分の恐怖が友人に通じないことで苛立つフィリフヨンカ。
災難が来るという予感は、来ないことには解消されないので苛立つばかり。
それは、「来ないことには立ち向かうことが出来ない」 からかも知れません。
今の生活、持っているモノを失う恐怖は持っているからこそ味わう恐怖。
執着を捨て、諦めてしまえば… 恐怖は無くなってしまうものかもしれません。
とんでもない嵐の後のフィリフヨンカの清清しさが、読む者まで清清しい気分にしてくれます。
大好きな一編です。

「世界で一番最後の龍」
ムーミンが捕まえた龍は、ムーミンになつかず、スナフキンが大好きなようです。
さて、龍はダレのモノなのか…
龍は、他ならぬ龍自身のモノなので、好きなように行動するもの。だったようです。(笑)
所有欲や何かに拘るという気持ちを上手く表現した一編だと思います。
ムーミンの寂しさ。スナフキンの思いやりにホッとする一編です。

「静かなのが好きなヘムレンさん」
好きなことだけをして暮らそうと決めた一人ぼっちのヘムレンさん。
公園にオモチャの家そ建てようとしますが、公園が無くなると困る子ども達が…
一人ということ。他者との関わりについて。
ちょっと考えてしまう良い一編です。

「目に見えない子」
目に見えない子、ニンニがムーミンママによって見えるようになるまで。
目に見えていても、消えてしまいたいと考えている子ども。いる気がします。
シツケ(躾)について。それは、包み込むような愛情の上にこそなされるべきなのかも。
ムーミンママは、やっぱり素敵です!


「ニョロニョロの秘密」
ニョロニョロが島から島へと移動するわけ。捜しているものとは…
パパが求めている冒険とは…

「スニフとセドリックのこと」
スニフがセドリックを大切に思っていたこと。
所有するということについて。
拘りについて。やっぱり、考えてしまう一編です。

「もみの木」
クリスマスが何なのか知らないムーミンたちの話。
(冬眠中にクリスマスがやって来るので、知らないのも当然なんですよね)
「もみの木」 は、とっても素敵な話です。

「ムーミン谷」 で暮らす面々の日常を描いています。
それは、ムーミン谷以外で暮らす私たちの世界とも似ています。
何かに拘って、何かに怯えて… どこかに落ち着く。
その落ち着く先が、今の自分の生活で、それしか無くて…
当たり前の日常が愛おしくなる短編が詰まった素敵な本だと思います。

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