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『西の魔女が死んだ』 [読書]

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梨木香歩(なしきかほ)著 新潮文庫

---- あらすじ ----------------------------------------------
パパが単身赴任中のため、仕事に忙しいママと2人暮らしをしていた主人公(まい)。
学校に行かない日が続いていたまいは、ママの提案で田舎の祖母と暮らすことになります。
日本人の祖父と結婚した祖母はイギリス人で、まいのママはハーフだったのです。
祖父亡き後も、山の中で自然と共存して暮らす祖母。まいは、色々なことを教わります。
祖母の家系が魔女であることを教わったまいは、自分も魔女になろうと決心します。
(祖母が西の魔女なら、修行中のまいは東の魔女ということですね)
しかし、魔女の修行とは、特別なことではなく、生活を整えることを繰り返すことなのでした。

「死ぬこと」 を考えることで、「生きること」 が鮮やかになり、
「生きていること」 をコントロールすることで、自分を 「生かす」 ことを学びます。
死んだ祖父が心の中で生き続けているということや、
花が毎年咲くと言う事から、繰り返している自然の摂理にも気が付きます。
そして、突然の別れ。
家族が離れ離れで暮らすことを解消するために、ママと一緒にパパの元に行くことを決めたのでした。
それから2年後、祖母が亡くなったという知らせを受けて、ママの車でかけつけるまい。
祖母の死で、まいは、その愛の深さを知るのでした。

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最初、タイトルを見たとき、何の話なんだろう? と不思議に思いました。
映画も公開されていたのですが、観る機会を逸っしていました。
会社の同僚が本を持っていらしたので、借りて読ませていただきました。
ラッキー。ですね。[ぴかぴか(新しい)]
中学生から大人の女性まで、幅広く読める本だと思います。
とても普通なことなのですが、大切なことが書かれている本です。
心が弱っているときに読むと、勇気がもらえるかもしれません。[わーい(嬉しい顔)]

中学生になったばかりの主人公まいは、喘息持ちの女の子です。
喘息の発作は出ていないのに、中学生活に馴染めない自分を発見しています。
パパに電話するママの声から、「扱いにくい子」、「生きにくいタイプの子」 という言葉を聞いてしまいます。
自分が自慢の優等生の娘や孫でないことは、まいにとっても辛いことでした。

イギリス人のおばあちゃんは、
まいが、「おばあちゃん、大好き」 といえば、「アイ ノウ!」(わかってるよん♪)
と答えてくれる、まいのことをまるごと愛してくれる女性でした。
「優等生だから」、「問題を起さないから」… そんな条件に叶うから愛されるのでなく、
まるごと愛されるということは、子どもの成長にとっても嬉しい素敵なことだと思います。
思春期を迎えたまいに対して、溢れんばかりの愛情を注いだのは、おばあちゃんなのでした。
(いきなり)魔女という言葉が出て来る設定も面白いです。
それは、箒(ほうき)で空を飛びまわるというよりも、生活技術に長けた(智恵を持つ)人が魔女のようです。
古来から、人がその智恵ゆえに頼る存在だった人。それが魔女なんです。
(だから、一神教の人々にとって、その存在は邪魔なのかも)
まわりに振り回されず、冷静な対応が出来る強い心を持つ女性が魔女だとしたら、
潜在的な能力までオモテに出せる能力を持つ女性が魔女だとしたら、
魔女というのは、なんと心惹かれる存在でしょう。
だから、人は魔女を恐れながらもその魅力に引き寄せられるのですね。[揺れるハート]

それでは、魔女の日課(心得?)を。
それは、魔女になるためのトレーニングの方法なのですが。
1.早寝早起き。
2.食事をしっかりとる。
3.運動をする。
4.規則正しい生活をする。

『体力を養う』 と、『精神力を鍛える』 ことは、基本トレーニングとしては同じ。らしいです。[わーい(嬉しい顔)]
それでは、さらに、悪魔(悪い人や誘惑)に支配されないために大切なことは意思の力らしいです。それは、
1.自分で決める力。
2.自分で決めたことをやり遂げる力。
だそうですよ。[わーい(嬉しい顔)]

疑いや怠け、あきらめ、なげやりな気持ちに打ち勝っていけば…
生まれつき意思の力が弱くても、長い時間をかけて少しずつ強くしていくことが出来る。
そう、誰でも魔女になれるんです!!

そのうち、
「自分で見ようと決めたもの」 は、見えるようになるそうですし、
「聞こうと決めたもの」 は、聞こえるようになるそうです。

気を付けなければならないことは、
「見ようとしていないのに見えて来るモノ」
「聞こうとしていないのに聞こえてくる声」 だそうです。
それこそが、悪魔が見せるモノ、聞かせている声だというわけです。
なんだか面白いです。

垂れ流されている情報には、気をつけろということかも知れません。
テレビやラジオ、雑誌や世間話。随分と世の中には悪魔(収益を求めるスポンサー?)が溢れてそうです。

意思の力。
それこそが心の要でモノゴト(世の中含む)を変えていくキッカケになるのかもしれませんね。

それにしても、
毎日食べるのに必要な野菜や卵。
ジャムにするための野生種の果物…
ジャム作りの楽しそうなこと、シーツの香り、料理、お茶…
なんだか、目に浮かびそうなくらい魅力的です。
さらには、ムーミン谷のような暮らしです。
さしずめまいは、ニンニのようですし、
おばあちゃんは、ムーミンママみたいです。よね。
スローライフって、憧れます。(て、忙しすぎるかも… 私)


 
>「自分で見ようと決めたもの」 は、見えるようになるそうですし、
>「聞こうと決めたもの」 は、聞こえるようになるそうです

強く願うことで、本来見えないはずのモノが見えたり(透視)、
本来聞こえないはずの声を聞くことが出来たり… するようです。
それは、まさに超能力ですよね。
ですが、(自分の都合の良いように)見たいように見えて、聞きたいように聞こえるということではないのです。
見たいモノが見えて、聞きたいモノが聞こえるということは、(自分の好不都合とは)無関係なのです。
自分の欲望から生まれる幻想や幻聴(思い込み)とは区別すべきものです。
さらには、誰か特定の個人(悪魔?)の利益のために見えたり、聞こえたりすることは…
まさに、悪魔の(?)ワザなのかも知れません。

洗脳は、心が弱くなるまで、繰り返し見せたり聞かせたりすることで、
脳に(刻み手の都合の良いように)書き込みます。
意思とは無関係に、心の弱いところに入り込んで来ます。
思い込みと一体となった洗脳から解き放つのは難しいことです。
本人に(洗脳された)意識がないから難しいのです。

最後に、
魔女の修行を積むことで、
自分の思い描いたように行動する強い意思を持つことが出来るとしたら、
自然や周りを巻き込んで、思い描く未来に向かって流れていくようになるのかも知れません。
それが、「運の良い人」 すなわち、
間違わない選択の達人、人々にとって方向性を示す羅針盤のような人になるための修行なのです。
いつの間にか、事態が軌道修正されて思っていたとおりの結果となるとしたら…
魔女に近付きつつある証拠なのかも知れませんね。[ぴかぴか(新しい)]
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