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民間防衛  ~あらゆる危機から身を守る~ (1/2) [読書]

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『民間防衛』 原書房 スイス政府編著(訳:原書房編集部)

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スイス政府は、「あらゆる危機から身を守る」 ため、『民間防衛』 を作成、全ての国民に配付しています。
それは、”国民の最も大きな財産である自由と独立” を守るためのマニュアルです。
(武装し訓練された国民一人一人には、『軍人操典』 が与えられているそうです)
戦争は、全国民と関係を持っているからです。

『民間防衛』 は、日本人にとっても真摯に自らを振り返るマニュアルとして役立ちます。
戦争(有事)は、スイス一国が直面する特別なことではありません。
日本においても、”国民の最も大きな財産である自由と独立” を守るためのマニュアルとして有効です。

[猫] 「まえがき」 が素晴らしい。
   それから、本の後ろ、「万一のための知識」 の前に書かれていることも素晴らしいです。
   転記します。ぜひ、読んで下さい。

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国土の防衛は、わがスイスに昔から伝わっている伝統であり、わが連邦の存在そのものに関わるものです。そのため武器をとり得るすべての国民によって組織され、近代戦用に装備された強力な軍のみが、侵略者の意図をくじき得るのであり、これによって、我々にとって最も大きな財産である自由と独立が保障されるのです。
 今日では、戦争は全国民と関係を持っています。
国土防衛のために武装し訓練された国民一人一人には、『軍人操典』 を与えられますが、『民間防衛』 というこの本は、わが国民全部に話しかけるためのものです
この2冊の本は同じ目的を持っています。つまり、どこから来るものであろうとも、あらゆる侵略の試みに対して有効な抵抗を準備するのに役立つということです。
 我々の最も大きな基本的財産は、自由と独立です。これを守るために、我々は、全ての民間の力と軍事力を一つにせねばなりません。しかし、このような侵略に対する抵抗の力というものは、即席でできるものではありません。
抵抗の力は、これに参加する全ての人々が、自分に与えられた任務と、それを達成するため各自の持つ手段方法を、理解し、実地に応用できるように訓練して、初めて有効なものとなるのです。
そこで、致命的な他からの急襲を避けるためには、今日からあらゆる処置をとらねばなりません。
 我々は、脅威に、いま、直面しているわけではありません。この本は危急を告げるものではありません。
しかしながら、国民に対して、責任を持つ政府当局の義務は、最悪の事態を予測し、準備することです。軍は、背後の国民の士気がぐらついていては頑張ることが出来ません。その上、近代戦では、戦線はいたるところに生ずるものであり、空からの攻撃があるかと思えば、すぐに他の所が攻撃を受けます。軍の防衛線のはるか後方の都市や農村が侵略者の餌食になることもあります。どの家族も、防衛に任ずる軍の後方に隠れていれば安全だと感じることはできなくなりました。
 一方、戦争は武器だけで行われるものではなくなりました。戦争は心理的なものになりました。
作戦実施のずっと以前から行われる陰険で周到な宣伝は、国民の抵抗意思をくじくことができます。精神ー心がくじけたときに、腕力があったとて何の役に立つでしょうか。反対に、全国民が、意思を固めた指導者のまわりに団結したとき、だれが彼らを屈服させることができるでしょうか
 民間国土防衛は、まず意識に目覚めることから始まります。われわれは生き抜くことを望むのかどうか。我々は財産の基本たる自由と独立を守ることを望むのかどうか。---国土の防衛は、もはや軍にだけ頼るわけにはいきません。
我々全てが新しい任務につくことが要求されています。今からすぐにその準備をせねばなりません。我々は、老若男女を問わず、この本と関係があるのです。この本は、警告し、相談にのり、教育し、激励します。私どもは、この本が国民に安心を与えることができることを望んでいます。
スイス連邦法務警察長官


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これまで読者の前に、起こり得る戦争の姿、考えられる戦いの幾つかの様相を、次々と展開して、警告を発して来たのは、我々が場合によっては耐え忍ばなければならない現実に、我々一人一人が慣れておくためである。前以て十分に警告されていれば、我々に襲い掛かる可能性のある厳しい試練の重みの、我々が押しつぶされてしまう危険は、それだけ少なくなるであろう。
 我々は、また、平和時に先見の明を欠くことの危険についても考えてみた。平和だからといって充分な準備を怠っていたならば、不意に動乱に巻き込まれたとき、我々は反撃する力を持たないかもしれない。歴史を学ぶとき、我々は楽観主義に対して警戒的にならざるをえない。楽観主義を信じすぎると、結果的には、何らの防衛手段も持たないまま、侵略者の手に委ねられてしまうことになりかねないからである
 歴史は、また、我々に、あらゆる戦争は、いつかは終わるものであり、決して将来に対して絶望すべきでないと教えている。
 健全な現実主義によって、我々は、戦争の見通しについては、最悪の事態を想定しておいたほうがいいことを知っている。そこで、我々は、自らの身を守るために必要な、欠くべからざる処置をとるのである。それは、また、我々の後に続く子孫もためでもあるのだ。

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以前、まごさんが、とても詳しく記事にされているので、そちらもどうぞご覧下さいませ。

(2/2 に続く)
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