『新参者』 想像以上の出来。ラストに感動！

ＴＢＳの日曜劇場　『新参者』　が終了しました。

三井峯子はなぜ殺されなければならなかったのか。
人は、なぜ嘘をつくのか。

人々の嘘をあばき、絡まった心の糸をほぐしながら真相（犯人）に辿り着くミステリーでした。
主演の人形町の新参者刑事・加賀恭一郎役の安部寛が素晴らしいのですが、
冷静沈着な加賀恭一郎の捜査に協力する豪華な出演者も素晴らしく、
人形町という街の鼓動が聞こえてくるようでした。

刑事は、「人を犯人かと疑う職業」　であり、捜査に協力する人々も、なんらかの嘘を抱えている。
けれど、嘘は、綻びであり、嘘から見える人の感情が温かい。生きている。そんな作品でした。
とはいうものの、殺人事件です。
嘘が温かくて優しくても、人の命を奪っていることは事実です。
誰が何のために、人（三井峯子）の命を奪ったのでしょうか。

答えを書くと、お金と名誉のために命を奪うしかないと追い詰められた人が、実際に命を奪います。
けれど、お金も名誉も、誰かが（例え親でも）守る（肩代わりする）ものではないのです。
親と子の関係を考える良い機会になりました。

今の世の中の閉塞感、歪さは、自分の責任を果たさず自分に嘘をつくことから生じているのでは？
ためについた嘘が、ためにならないこともあるのでは？
嘘は誤魔化しだから、綻びや歪さを生むんだろうなぁと思いました。

けれども、人は嘘をつく生きものです。加賀刑事に言わせると、嘘には三つあるそうです。

1.自分を守るための嘘　
2.他人をかばうための嘘
3.他人を欺くための嘘

何から何を守るための嘘なのか。嘘を見極めて、真実を知っていく。
その過程と嘘と一緒に隠された気持ち（思いやりやエゴ）が、秀逸に描かれた番組でした。

ちなみに…

番組のホームページは、こちら。
各話のあらすじ完全版は、こちら。
ついでに（？）、原作、はじめに、相関図を貼り付けておきます。

　　　-----　原作　-------------------------------------------------------

　　　-----　はじめに　---------------------------------------------------

　　　------　相関図　----------------------------------------------------

　　　------------------------------------------------------------

9話まで観たとき、この話はどう終結するのかと、つまらない展開だとイヤだなぁと思いましたが、
最終話では、みごとに全てが結びつき、あとは、感心（感動）して唸るしかありませんでした。

いやぁ、いいドラマは、余韻が残りますねぇ…
さすがの原作。ベストセラー作家さんだと思いました。

ちなみに…
私は、原作を読んでません。

タグ：ＴＢＳの日曜劇場　『新参者』 東野圭吾原作 三井峯子 新参者刑事・加賀恭一郎 安部寛 黒木メイサ 自分を守るための嘘 他人をかばうための嘘 他人を欺くための嘘

コメント 2

僕もこれ見てました！阿部さんのファンなので♪
僕としては保険金が誰のためだったのかなど、もうちょっと知りたいところがありました。。
やっぱり生まれてくる子供のためだったってゆーのが妥当なんですかね？
でも面白かったです！
by ぱちゃぽ (2010-06-27 07:14) 

ぽちゃぽさんも見てたんだぁ。(*^。^*)
面白かったですよね。

少しずつ（優しい）嘘が明らかになっていく過程には、心が温かくなりました。
自分を騙す必要がない嘘は優しいのだと思いました。

犯人は、他人を守るためだと自分にまで嘘をつきました。
けれど、その嘘は、自分を守るための嘘で、他人を欺くための嘘でした。
それは優しい嘘ではないですから、人を殺めることにまで発展してしまいましたね。
自分の都合のためには、他人を排除することも構わないというエゴがさせた殺人だと思います。

保険金は、自分のためと残された人のためのものですから、
三井峯子さんは、一人で翻訳家として身を立てる覚悟をし、生まれて来る命に夢を描いていたのでしょう。
ところが、それが、無残に破壊されました。
ところで、犯人にも子や孫がいます。

お金は、人を惑わす狂気を生み、凶器となる場合があるのです。
お金に惑わされる生き方をしたくないと思いました。
ドラマが伝えたかったのは、そういうことではないでしょうか。

最後、息子と父親がぎこちなく話すシーン。
（生きているからこそ話せる）良かったです。
母を失い、元妻を失うながらも、得たものが有ったのです。

嘘を暴きながら、壊れた絆を加賀刑事をが修復していく過程が素晴らしいと思いました。
東野圭吾は、やっぱり凄いです。(*^。^*)
by 元気 (2010-06-27 14:30)