『愛を読むひと/朗読者』 [映画]
映画館で見逃していた作品です。
レンタルで借りたものの、観る時間がなくて(借りちゃいけなかったのかも)、
何度も再レンタルし、ほぼ一ヶ月。(1週間50円で、200円ですね)
同じことをしていた、もう一本のDVD(『縞模様のパジャマの少年』)と続けてやっと観賞。
たくさん借りたDVD(なにしろ50円でしたから)の中で、テーマの重さゆえに残った作品は、
奇しくも、アウシュビッツを題材にした映画でありました。
まずは、予告編を。
う~ん。う~ん。(唸ってしまう)
ヤフーの映画。作品トップでの紹介文には、こうあります。
「幼いころに恋に落ち、数年後に劇的な再会を果たした男女が、
本の朗読を通じて愛を確かめ合うラブストーリー」
これは、ちょっと(だいぶ)違うと思います。信じて観たら、期待を裏切られると思います。
そもそも、15歳を幼い頃とは言わないでしょうね。
15歳の少年(レイフ・ファインズ)と逢瀬を重ねる年上の女性、ハンナをケイト・ウィンスレットが熱演。
突然、雪が舞うベルリンで始まった恋が夏と共に突然去っていきます。
喜びであるはずの恋が”秘め事”となるのは、「道徳心」が理由でした。
なぜ、彼女は、突然去ったのか。
なぜ、彼女は本を読むことを請うたのか。
なぜ、彼女は罪を問われ、なぜ、罪を受け入れたのか。
その誇りゆえに隠さねばならなかった”秘め事”。
(ここでは書きません。作品をご覧になって下さいね)
歳の差、愛するとはどういうことなのか。
罪の償いとは何なのか。
決断とは、覚悟が伴うことです。
覚悟をもってした決断が他者によって歪められるとき、さまざまな歪み、溝が生まれます。
歴史の中でうごめく人々… 埋めることの出来ない溝について。
時間でさえも埋めることが難しいのではなく、
時間による忘却が真実を覆い隠すのだと気付かされます。
歴史の、”秘め事” とされていくのです。
確かに掴んだはずの真実は、覆い隠されていきます。
真実に対峙するとき、狂おしいほどの情愛と残酷さが胸に迫ってきます。
時代という大きな流れの中で、戦争という命懸けの中で、さまざまな決断の場面で、
「道徳心」 を持ち続け、いついかなる場面でも最優先されるものなのでしょうか?
「道徳心」 が働かないから、「法」で裁かれるのだと映画の中で、教授が言います。
けれど、「法」 が 「道徳心」 を、事後法によって裁くことに正等性はあるのでしょうか。
犯した罪は消えません。許されない罪もあります。
けれど、大きな時代の流れの中での選択の責任を、個人(それも他者)に押し付けて恥じない人々。
その心には、「道徳心」 を見い出すことは出来ないはずです。
「道徳心」 が働かない人々によって裁かれる 「道徳心」。
とても皮肉なことに、「道徳心」 が働くがゆえに、その誇りを守るために罪を受け入れるのだということ。
多数(強者)の中での少数(弱者)。人の理不尽さ。罪と誇りを考えさせてくれる映画でした。
さりげなく描かれた小さくて大きな希望が、
一人でも多くの人に伝わることを願わずにはいられません。
借りるまでも放置。借りてからも放置。観てからも放置(熟成?)。
下書き保存をしたまま、記事にアップせぬまま、約1か月半放置していた記事です。
いよいよ、アップせねばと加筆して… (とても良い作品なので)残しておきたいと思いました。
「不道徳」 と、「秘め事」 重いテーマですが、ぜひ、ご覧下さい。
私も観たかった映画です。
by ロク (2010-09-07 20:23)
ロクさん、こんばんは。
この作品は、とても難しいテーマを扱っていると思います。
愛というよりも、人間を扱っていると思います。
私は、ラブストーリーが大好きですが、
もっともっとオススメの映画があります。
ご覧になられているかも知れませんが、2004年の作品。
『きみに読む物語』 です。
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id320424/
とても熱い感情が溢れ出る傑作だと思います。
「読む」 繋がりということで。お許しを。(^_^;)
by 元気 (2010-09-07 22:08)