『おいしい おかゆ』 [おはなしのたからばこ]
『おいしい おかゆ』 文:富安陽子 絵:尾崎幸
お母さんと2人暮らしの女の子。
家に食べ物がなくなって、森に食べ物を探しに行ったところ、
女の子が困っていることを知っているお婆さんが小さなオナベをくれます。
小さいオナベに呪文を唱えると、美味しいお粥が煮えるのです。
それから、その小さいオナベのお陰で食べ物の心配をしなくてよくなりました。
ある日、女の子が留守のとき、お腹が空いたお母さんがオナベに呪文を唱えます。
ところが、お粥を止める呪文を知らなかったのでお粥が溢れ出してしまいます。
『海の水が何故しょっぱいか』
そんな昔話がありました。
不思議な石臼を回して塩を出したものの、止め方が分からず…
という話でした。
このお話(グリム童話)では、女の子が帰って来て、無事にお粥が煮える(溢れ出る)のを止めることが出来ます。
(町を飲み込むかの勢いで)溶岩のように町に溢れた美味しいお粥。
町中の人々も美味しく食べれたとか。(メデタシメデタシ?)
お腹が空いたお母さん。
お粥を煮えさせることは見よう見まねで知っていたのに、
止め方を知らなかったとは…
そんなモノかも知れませんね。
出す(始める)ことにばかり意識がいって、
止める(終わらせる)ことには意識がいかない。
始めることよりも終わることの方が難しいということなのかも知れませんね。
知ることよりも活用することの方が難しい。
入る(入会)よりも出る(辞める)方が難しい。
ヤメラレナイ、トマラナイ…
本当に… そうなのかも知れませんね。
お母さんと2人暮らしの女の子。
家に食べ物がなくなって、森に食べ物を探しに行ったところ、
女の子が困っていることを知っているお婆さんが小さなオナベをくれます。
小さいオナベに呪文を唱えると、美味しいお粥が煮えるのです。
それから、その小さいオナベのお陰で食べ物の心配をしなくてよくなりました。
ある日、女の子が留守のとき、お腹が空いたお母さんがオナベに呪文を唱えます。
ところが、お粥を止める呪文を知らなかったのでお粥が溢れ出してしまいます。
『海の水が何故しょっぱいか』
そんな昔話がありました。
不思議な石臼を回して塩を出したものの、止め方が分からず…
という話でした。
このお話(グリム童話)では、女の子が帰って来て、無事にお粥が煮える(溢れ出る)のを止めることが出来ます。
(町を飲み込むかの勢いで)溶岩のように町に溢れた美味しいお粥。
町中の人々も美味しく食べれたとか。(メデタシメデタシ?)
お腹が空いたお母さん。
お粥を煮えさせることは見よう見まねで知っていたのに、
止め方を知らなかったとは…
そんなモノかも知れませんね。
出す(始める)ことにばかり意識がいって、
止める(終わらせる)ことには意識がいかない。
始めることよりも終わることの方が難しいということなのかも知れませんね。
知ることよりも活用することの方が難しい。
入る(入会)よりも出る(辞める)方が難しい。
ヤメラレナイ、トマラナイ…
本当に… そうなのかも知れませんね。
『くわずにょうぼう』 [おはなしのたからばこ]
『くわずにょうぼう』 文:二宮由紀子 絵:下谷二助
(食わず女房)
とってもケチな金持ちの男とその妻(女房)の話です。
ご飯を食べずに働くから妻にしてくれと、美しい女が突然現われ、男に言います。
男は、「食べずに働くとはウソだ」 と思いましたが、
あまりに女が美しかったので、「ウソでもいいや」 と妻にします。
ところが、それがウソではなくて、食べずによく働いたそうです。
男のために朝昼晩と馳走を作り、自分は食べない。
男が美味しそうに食べるのをニコニコして見ているだけ。
次の日も次の日も…
朝早くから夜遅くまで休むことなく働いて何も食べない。
いつもニコニコして、ますます美しくなっていく。
実は、男を食べるために太らせていたのです。
男は逃げますが、結局は食べられてしまうという話です。
どっちが良いかしらん。
家事を完璧にこなし文句を言わず、ますます美しい働き者の妻と、
家事も出来ないのに文句だけは一人前以上、よく食べて、よく寝る怠け者の妻。
そりゃあ、前者の方、働き者の妻。すよね。
間違っても後者、怠け者の妻ではありません。よね。
でもね。
女は、男に負けないくらい、実はとっても欲深い生き物なんです。
惚れた男のための苦労は厭わないかわりに、
惚れてもいない男のための苦労は、したくない。
惚れてもいない男のために苦労するとしたら…
それは、自分のためなんです。
男を煽てて太らせて(良い思いをさせて)、収穫の機会を窺っているのかしれませんよ。
----------------------------
私?
そうね。まず、いっぱい食べます。
で、自分のためには動くけれど… 嫌いな人のためには動かない。
利害関係(計算)だけでも動かないけれど、
嫌いな人のために動くとしたら… まず、何か裏が有る。
当たり前だけど、まず、嫌いな人、どうでも良い人と結婚などしない。
本性を隠して男を騙した美しい女が、
男を食い物にする話はドラマの中ではよくある話です。
男が女の美しさと従順さに目が眩んだのが悪いのです。
(騙す方も騙される方も欲に目が眩んだ点では、ドッコイドッコイかも)
男の魅力が財産だなんて、男の夢。かもしれません。
財力は男の魅力の一部であって全てではないはず。
財力で買えるものは、財がなくなったら消えるものだものね。
女の魅力も、美しさや働きだけではないはず。
(病気で)働けなくなっても、
(年を取って)美しくなくなっても魅力がなくなるワケではない。
美しさや働きは、強力な魅力であっても全てではないはず。
共に過ごした時間が2人の財産になるんだと思う。
だから、財産になるような過ごし方をしないと長年連れ添うのは難しいかも。
従順。なんて、よっぽど男と気が合うか、裏があるかのどちらか。かも。
男と女の私利私欲。欲望のぶつかり合いに折り合いをつけることは、従順とはほど遠いもの。
くわずにょうぼう のような妻をお持ちの方は、今からでも遅くはない。
妻を太らせ、怠けさせる工夫とした方が得策かもしれませんよ。
都合の良いところだけを見ていると…
最後は(?)、食べられて、骨だけにされちゃうかもよん。
お気をつけあそばせ。
(食わず女房)
とってもケチな金持ちの男とその妻(女房)の話です。
ご飯を食べずに働くから妻にしてくれと、美しい女が突然現われ、男に言います。
男は、「食べずに働くとはウソだ」 と思いましたが、
あまりに女が美しかったので、「ウソでもいいや」 と妻にします。
ところが、それがウソではなくて、食べずによく働いたそうです。
男のために朝昼晩と馳走を作り、自分は食べない。
男が美味しそうに食べるのをニコニコして見ているだけ。
次の日も次の日も…
朝早くから夜遅くまで休むことなく働いて何も食べない。
いつもニコニコして、ますます美しくなっていく。
実は、男を食べるために太らせていたのです。
男は逃げますが、結局は食べられてしまうという話です。
どっちが良いかしらん。
家事を完璧にこなし文句を言わず、ますます美しい働き者の妻と、
家事も出来ないのに文句だけは一人前以上、よく食べて、よく寝る怠け者の妻。
そりゃあ、前者の方、働き者の妻。すよね。
間違っても後者、怠け者の妻ではありません。よね。
でもね。
女は、男に負けないくらい、実はとっても欲深い生き物なんです。
惚れた男のための苦労は厭わないかわりに、
惚れてもいない男のための苦労は、したくない。
惚れてもいない男のために苦労するとしたら…
それは、自分のためなんです。
男を煽てて太らせて(良い思いをさせて)、収穫の機会を窺っているのかしれませんよ。
----------------------------
私?
そうね。まず、いっぱい食べます。
で、自分のためには動くけれど… 嫌いな人のためには動かない。
利害関係(計算)だけでも動かないけれど、
嫌いな人のために動くとしたら… まず、何か裏が有る。
当たり前だけど、まず、嫌いな人、どうでも良い人と結婚などしない。
本性を隠して男を騙した美しい女が、
男を食い物にする話はドラマの中ではよくある話です。
男が女の美しさと従順さに目が眩んだのが悪いのです。
(騙す方も騙される方も欲に目が眩んだ点では、ドッコイドッコイかも)
男の魅力が財産だなんて、男の夢。かもしれません。
財力は男の魅力の一部であって全てではないはず。
財力で買えるものは、財がなくなったら消えるものだものね。
女の魅力も、美しさや働きだけではないはず。
(病気で)働けなくなっても、
(年を取って)美しくなくなっても魅力がなくなるワケではない。
美しさや働きは、強力な魅力であっても全てではないはず。
共に過ごした時間が2人の財産になるんだと思う。
だから、財産になるような過ごし方をしないと長年連れ添うのは難しいかも。
従順。なんて、よっぽど男と気が合うか、裏があるかのどちらか。かも。
男と女の私利私欲。欲望のぶつかり合いに折り合いをつけることは、従順とはほど遠いもの。
くわずにょうぼう のような妻をお持ちの方は、今からでも遅くはない。
妻を太らせ、怠けさせる工夫とした方が得策かもしれませんよ。
都合の良いところだけを見ていると…
最後は(?)、食べられて、骨だけにされちゃうかもよん。
お気をつけあそばせ。
『ふしぎなたいこ』 [おはなしのたからばこ]
『ふしぎなたいこ』 文:新田新一郎 絵:田島征三
雪が解けると鳥が歌い、花が咲き、喜んで畑仕事をする。
そんな昔、昔… の話。
天狗から貰った不思議な太鼓。
太鼓を叩くと鼻が伸びる。
自分の鼻は伸ばしてはならないという約束。
とうとう破ってしまった源五郎。
雲の上に上って落ちてゲンゴロウブナになったという話。
とんでもない宝(果報)を手にした人間が、果報に溺れ没落するという話。
欲に目の眩んだ愚かな人間が一人、世の中からいなくなっても、
世の中は変らずに存在するという… 話。かな。
手に入れた宝の活用の仕方は、人それぞれだけど、
欲に打ち勝つことの出来ない人間は、その宝を活かすよりも、
その宝によって滅びるという教訓だと思う。
どんなに長閑(のどか)で不足の無い暮らしをしていても、
手にしたものの扱い方と欲、約束ごとを守らねば報いを受ける(バチが当たる)という話。
---------------------------------------------------
宝を与えた天狗は、源五郎なら大丈夫(扱い方のルールを守り、欲をかかない)と思っていたのでしょうか。
欲望をコントロールすることが一番難しいことなのかも。
満足すれば、さらなる満足を求める。それが進化でもあるのだろうし…
それが人間の特性で、その衝動でもって進化があるのだと思う。
現状に満足して、刺激を求めないということは… 至難の業ですね。
天狗(神?)さま、人間を試さないで欲しい。
もしかしたら、試すというより、それが自然の掟(おきて)なのかも。
いやぁ、掟破りがなくなったら…
人が欲望をコントロール出来るように(それも進化?)なれば…
世の中は変るのかもしれませんね。
雪が解けると鳥が歌い、花が咲き、喜んで畑仕事をする。
そんな昔、昔… の話。
天狗から貰った不思議な太鼓。
太鼓を叩くと鼻が伸びる。
自分の鼻は伸ばしてはならないという約束。
とうとう破ってしまった源五郎。
雲の上に上って落ちてゲンゴロウブナになったという話。
とんでもない宝(果報)を手にした人間が、果報に溺れ没落するという話。
欲に目の眩んだ愚かな人間が一人、世の中からいなくなっても、
世の中は変らずに存在するという… 話。かな。
手に入れた宝の活用の仕方は、人それぞれだけど、
欲に打ち勝つことの出来ない人間は、その宝を活かすよりも、
その宝によって滅びるという教訓だと思う。
どんなに長閑(のどか)で不足の無い暮らしをしていても、
手にしたものの扱い方と欲、約束ごとを守らねば報いを受ける(バチが当たる)という話。
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宝を与えた天狗は、源五郎なら大丈夫(扱い方のルールを守り、欲をかかない)と思っていたのでしょうか。
欲望をコントロールすることが一番難しいことなのかも。
満足すれば、さらなる満足を求める。それが進化でもあるのだろうし…
それが人間の特性で、その衝動でもって進化があるのだと思う。
現状に満足して、刺激を求めないということは… 至難の業ですね。
天狗(神?)さま、人間を試さないで欲しい。
もしかしたら、試すというより、それが自然の掟(おきて)なのかも。
いやぁ、掟破りがなくなったら…
人が欲望をコントロール出来るように(それも進化?)なれば…
世の中は変るのかもしれませんね。
『熊ちゃん』 [おはなしのたからばこ]
『熊ちゃん』 文:今江祥智 絵:あべ弘士
~ あらすじ ~
引越しの最中に見つけた青いリボンの掛かった箱。
最初に見つけたのは、麻里ちゃんでした。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、引越しで大忙し。
たくさんの荷物で埋もれている箱を一人で取り出せない麻里ちゃん。
助けてもらおうと声をかけます。
通りかかったお父さんに頼んでみましたが、何を欲しがっているのか確かめもしないで、
「あとで」 と答えます。
お兄ちゃんも、同じでした。
「あとで」
ほうきで箱を引き寄せようと考えた麻里ちゃん。
ほうきは、お母さんが使っていました。ほうきを貸してと頼む麻里ちゃんに、
お母さんは、ほうきで何をしたがっているのか、確かめようともしません。
「あとで。今、忙しいのよ」 と、答えます。
「じゃあ、棒かなんかない?」 と尋ねる麻里ちゃんに、
「自分で探しなさい」 と答えます。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、麻里ちゃんなんかいないみたいに忙しくしています。
麻里ちゃんは、引越しだけでなく、いつでもそうだったことを思い出します。
お父さんとお母さんは仕事に忙しくて、お兄ちゃんは、勉強に忙しかったのです。
麻里ちゃんのお話をゆっくり聞いてくれたことなど有りませんでした。
何でも、「あとで」 でした。
腹が立った麻里ちゃんは、荷物を蹴ってしまいますが、
その弾みで箱は麻里ちゃんの元に転がり込んできました。
箱の中には、、まっ白いフカフカの熊が入っていました。
その熊は、「こんなのが欲しい!」 と、思っていたとおりの熊ちゃんでした。
熊ちゃんを紹介しようとお父さんとお兄ちゃんに声を掛けますが、
引越しに忙しい二人は、麻里ちゃんの方をよく見ようともしません。
麻里ちゃんは、熊ちゃんを紹介出来ませんでした。
「ごめんね」 と、謝る麻里ちゃん。
お詫びに、熊ちゃんに、すみれちゃんという名前をつけました。
熊ちゃんは、「ウー、フー」 と、答えてくれました。
口が利ける熊ちゃんなのでした。
とっても嬉しくて、お父さん、お母さん、お兄ちゃんに、せいいっぱいの声を出してそれを伝えます。
が、誰も返事をしてくれませんでした。
お父さんが、ひと言つぶやいただけでした。
「やれやれ、この忙しいのに、ままごと遊びかね。子どもはノンキでいいなぁ」
返事をしてくれない皆。
麻里ちゃんは、熊ちゃんに、また、「ごめんね」 と、謝ります。
熊ちゃんは、「ウー、フー」 と、答えてくれました。
いつの間にかホンモノの熊ほどの大きさになった熊ちゃんは、
麻里ちゃんを抱え込むと立ち上がりました。
「すてき。ホンモノみたいだわ」 と、つぶやく麻里ちゃん。
今度も、お母さんたちは、返事をしてくれませんでした。
熊ちゃんは、ゆっくりと、そっと、麻里ちゃんを抱きなおします。
麻里ちゃんを抱いた熊ちゃんは、ゆっくりと家から出て行きました。
目の前には、深い緑色の森が、ぽっかりと口を開けて2人を迎え入れてくれました。
グリム童話では無いです。
単調な話かと思っていたら… とんでもない話になっていきます。
これは、大人のための本です。
少なくとも、子どもに話して聞かせる本ではありません。よね。
子どもの話を(忙しいからと)聞かない大人。
答えてくれたのは、「熊ちゃん」 でした。
それは、最初は、小さい箱の中に入っていた熊ちゃんでした。
箱から出すと、麻里ちゃんと同じくらいの背丈になりました。
麻里ちゃんが、誰も相手をしてくれないと残念に思っているうちに… 熊ちゃんは大きくなっていきます。
最後は、相手にしてくれない大人を残して、出て行ってしまうという話なのでした。
なんという話でしょう。
あなどれない話です。ヤバイです。
(有名な?)子どもの夢の話です。
夜中に冷蔵庫を開けるのですが、中には色々な美味しそうなモノが入っているのですが、
自分が食べたいものだけが無いという夢の話を聞いたことがあります。
豊かな生活になって、色々なモノで溢れている社会になったのに、
本当に欲しいモノが見付からないというか、手に入らないという苛立ちが伝わる夢の話です。
引越しで忙しくしている親子。
毎日、仕事や勉強で忙しくしている親子。
でも、何のために忙しくしているのか…
それは、親であれば、可愛い子どもとの生活のためだったはず。
子どもであれば、大きくなって良い仕事に就くための勉強のはずなのですが…
麻里ちゃんという大切なモノを置き去りにしているという話なんです。
話を聞いてくれる人。
自分のことを分かってくれる人。
そんな人やモノに、騙されてしまうことあります。
誘拐されたり、お金を取られたり…
宗教や勧誘にも似ている気がします。
熊ちゃんのように、自分の欲しいモノに変えることが出来るからです。
本当は、その大切な人と向き合うということが重要なことで、
忙しいとか、理由を並べ立てることをしないことが必要なのかもしれません。
そこに居るのに、居ないのと同じに扱われるなんてこと。
それは、人格否定であり、重要な問題を含んでいることなのだと…
そこにこそ、様々な誘惑に付け入れられるスキを生み出すことになっているのだと…
現代社会の警鐘のように感じられる本なのでした。
ヒェ~! です。
~ あらすじ ~
引越しの最中に見つけた青いリボンの掛かった箱。
最初に見つけたのは、麻里ちゃんでした。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、引越しで大忙し。
たくさんの荷物で埋もれている箱を一人で取り出せない麻里ちゃん。
助けてもらおうと声をかけます。
通りかかったお父さんに頼んでみましたが、何を欲しがっているのか確かめもしないで、
「あとで」 と答えます。
お兄ちゃんも、同じでした。
「あとで」
ほうきで箱を引き寄せようと考えた麻里ちゃん。
ほうきは、お母さんが使っていました。ほうきを貸してと頼む麻里ちゃんに、
お母さんは、ほうきで何をしたがっているのか、確かめようともしません。
「あとで。今、忙しいのよ」 と、答えます。
「じゃあ、棒かなんかない?」 と尋ねる麻里ちゃんに、
「自分で探しなさい」 と答えます。
お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、麻里ちゃんなんかいないみたいに忙しくしています。
麻里ちゃんは、引越しだけでなく、いつでもそうだったことを思い出します。
お父さんとお母さんは仕事に忙しくて、お兄ちゃんは、勉強に忙しかったのです。
麻里ちゃんのお話をゆっくり聞いてくれたことなど有りませんでした。
何でも、「あとで」 でした。
腹が立った麻里ちゃんは、荷物を蹴ってしまいますが、
その弾みで箱は麻里ちゃんの元に転がり込んできました。
箱の中には、、まっ白いフカフカの熊が入っていました。
その熊は、「こんなのが欲しい!」 と、思っていたとおりの熊ちゃんでした。
熊ちゃんを紹介しようとお父さんとお兄ちゃんに声を掛けますが、
引越しに忙しい二人は、麻里ちゃんの方をよく見ようともしません。
麻里ちゃんは、熊ちゃんを紹介出来ませんでした。
「ごめんね」 と、謝る麻里ちゃん。
お詫びに、熊ちゃんに、すみれちゃんという名前をつけました。
熊ちゃんは、「ウー、フー」 と、答えてくれました。
口が利ける熊ちゃんなのでした。
とっても嬉しくて、お父さん、お母さん、お兄ちゃんに、せいいっぱいの声を出してそれを伝えます。
が、誰も返事をしてくれませんでした。
お父さんが、ひと言つぶやいただけでした。
「やれやれ、この忙しいのに、ままごと遊びかね。子どもはノンキでいいなぁ」
返事をしてくれない皆。
麻里ちゃんは、熊ちゃんに、また、「ごめんね」 と、謝ります。
熊ちゃんは、「ウー、フー」 と、答えてくれました。
いつの間にかホンモノの熊ほどの大きさになった熊ちゃんは、
麻里ちゃんを抱え込むと立ち上がりました。
「すてき。ホンモノみたいだわ」 と、つぶやく麻里ちゃん。
今度も、お母さんたちは、返事をしてくれませんでした。
熊ちゃんは、ゆっくりと、そっと、麻里ちゃんを抱きなおします。
麻里ちゃんを抱いた熊ちゃんは、ゆっくりと家から出て行きました。
目の前には、深い緑色の森が、ぽっかりと口を開けて2人を迎え入れてくれました。
グリム童話では無いです。
単調な話かと思っていたら… とんでもない話になっていきます。
これは、大人のための本です。
少なくとも、子どもに話して聞かせる本ではありません。よね。
子どもの話を(忙しいからと)聞かない大人。
答えてくれたのは、「熊ちゃん」 でした。
それは、最初は、小さい箱の中に入っていた熊ちゃんでした。
箱から出すと、麻里ちゃんと同じくらいの背丈になりました。
麻里ちゃんが、誰も相手をしてくれないと残念に思っているうちに… 熊ちゃんは大きくなっていきます。
最後は、相手にしてくれない大人を残して、出て行ってしまうという話なのでした。
なんという話でしょう。
あなどれない話です。ヤバイです。
(有名な?)子どもの夢の話です。
夜中に冷蔵庫を開けるのですが、中には色々な美味しそうなモノが入っているのですが、
自分が食べたいものだけが無いという夢の話を聞いたことがあります。
豊かな生活になって、色々なモノで溢れている社会になったのに、
本当に欲しいモノが見付からないというか、手に入らないという苛立ちが伝わる夢の話です。
引越しで忙しくしている親子。
毎日、仕事や勉強で忙しくしている親子。
でも、何のために忙しくしているのか…
それは、親であれば、可愛い子どもとの生活のためだったはず。
子どもであれば、大きくなって良い仕事に就くための勉強のはずなのですが…
麻里ちゃんという大切なモノを置き去りにしているという話なんです。
話を聞いてくれる人。
自分のことを分かってくれる人。
そんな人やモノに、騙されてしまうことあります。
誘拐されたり、お金を取られたり…
宗教や勧誘にも似ている気がします。
熊ちゃんのように、自分の欲しいモノに変えることが出来るからです。
本当は、その大切な人と向き合うということが重要なことで、
忙しいとか、理由を並べ立てることをしないことが必要なのかもしれません。
そこに居るのに、居ないのと同じに扱われるなんてこと。
それは、人格否定であり、重要な問題を含んでいることなのだと…
そこにこそ、様々な誘惑に付け入れられるスキを生み出すことになっているのだと…
現代社会の警鐘のように感じられる本なのでした。
ヒェ~! です。
『白雪姫』 [おはなしのたからばこ]
『白雪姫』 グリム童話
文:岩瀬成子 絵:荒井良二
~ あらすじ ~
昔ある国に愛らしい赤ちゃんが生まれ、雪のように白かったので、
「白雪姫」 と名付けられました。
白雪姫のお母様は、すぐに亡くなられたので、
王さまは、新しいお妃を迎えました。
新しいお母様は、不思議な鏡を持っていて、
「国中で一番美しいのは誰?」 と尋ねては、
「あなたが一番美しい」 と鏡が答えるのを聞き、
うっとりと、鏡の中の自分を見つめていました。
白雪姫が7歳になったとき、
とうとう、鏡は、
「白雪姫が一番美しい」 と、答えてしまいます。
それからお妃は、白雪姫を憎むようになり、
白雪姫を見る度に心が乱れるのでした。
ある日、お妃は狩人に白雪姫を殺して肝を持ち帰るよう命じます。
狩人は、白雪姫を森に連れて行きますが、
「殺さないで」 と哀願する白雪姫をどうしても殺すことが出来ず、
イノシシを殺して肝をお妃に渡します。
お妃は、その肝をすっかり食べてしまいました。
森に残された白雪姫は、小さな家にたどり着きます。
その家には、7つの家具と食器と食べ物がありました。
それらから、少しずつ食べた白雪姫は、一つのベットで眠ります。
山仕事を終えて帰って来た家の住人、7人の小人達は驚きますが、
ベットで寝ている美しい白雪姫を見て、心が喜びで満たされます。
白雪姫の話を聞いた小人達は、城に帰らず家に留まるように言うのでした。
お城で鏡に尋ねたお妃は、白雪姫が死んでいないことを知ります。
お妃は、おばあさんの格好をし、色とりどりのリボンを入れたカゴを持って、
白雪姫のいる家を訪ねます。
家におばあさんを招きいれた白雪姫は、リボンで首を絞められてしまいます。
山仕事から帰った小人達は、倒れている白雪姫を見付けて慌てますが、
リボンをハサミで切ると白雪姫は元気になりました。
話を聞いた小人達は、「誰も家に入れてはいけない!」 と、白雪姫に、きつく言います。
また、お城で鏡に尋ねたお妃は、白雪姫が死んでいないことを知ります。
お妃は、小間物屋の格好をし、毒のクシを用意して白雪姫のいる家に向かいます。、
白雪姫は、「誰も家に入れてはいけない!」 と、きつく言われていたのに、小間物屋を家の中に入れてしまいます。
小間物屋に毒入りのクシで髪をとかしてもらい、床に倒れてしまいます。
山仕事から帰った小人達は、倒れている白雪姫を見付けます。
髪にささった毒のクシを見つけて抜き取ると、白雪姫は、元気になりました。
またまた、お城で鏡に尋ねたお妃は、白雪姫が死んでいないことを知ります。
お妃は、お百姓さんの格好をし、毒のリンゴを用意して白雪姫のいる家に向かいます。
「ドアを開けてはいけないの」 と言う白雪姫に、窓からリンゴを差し入れるお百姓さん。
リンゴを食べた白雪姫は、たちまち死んでしまいました。
お城に帰ったお妃は、鏡に尋ねて、やっと、「あながた一番美しい」 と、答えさせます。
山から帰った小人達は、なんとか生き返らせようとしますが駄目でした。
三日三晩泣きとおし、白雪姫をガラスの棺に寝かせました。
まるで生きているように見えたので、土に埋めることをしませんでした。
長い間、小人達は、棺を守り続けました。
森に迷い込んだ王子様が、ガラスの棺を見付けます。
ガラスのい棺に中に白雪姫を見て、たちまち心を奪われます。
小人達は、王子様の願いを聞き入れて、棺を譲ることを決めるのでした。
小人達が、棺を担いで進んでいるとき、一人が木の根っこにつまずきます。
その拍子に、白雪姫のノドに詰まっていた毒リンゴのカケラが飛び出し、生き返ります。
喜んだ王子は白雪姫にプロポーズ。2人は結婚することになります。
結婚式には、王さまとお妃様も呼ばれました。
お妃は、花嫁が白雪姫であることを知ると逃げ出そうとしますが、
真っ赤に焼かれた鉄の靴を履かされ踊らされ死んでしまいました。
えっとぉ…
7歳の白雪姫なのだから、
小人達に、「誰も家に入れてはいけない!」 と言われていても、騙されて開けてしまったり、
窓から入れられたリンゴも食べてしまったんですよね。
で、それから長い間、死んだような状態になっていて、王子様と出会い、結婚する。
が、そこには、恋愛とかいうモノは無くて、
一目惚れというか、「お姫様は王子様と結婚する」 という大前提があるわけです。
そして、
「王子様とお姫様は幸せに暮らしました」 と、結末も決まっているんですよね。お話ですから。
そこで、そこでちょっと、
『魔法にかけられて』 という映画を思い出しました。
映画では、
お姫様は、王子様とデートしたことも無いことに気付きます。(出会ったら結婚がオヤクソクだったのですから)
お妃の陰謀で、物語から抜け出してしまったお姫様は、迎えに来た王子様と物語の世界に帰る前に、
デートなるものをしようと、しちゃいます。
物語の王子様は、物語の王子様で、それ以上でもそれ以下でもない。
ところが、先に物語から抜け出てしまい、現実世界に入れられてしまったお姫様は、
物語の世界以上の経験(デートとかね)をしてしまっていたので、
物語の王子様では役不足(?)となってしまった。という話でしたが、
現実のバリバリOLが実は超ロマンチストで、物語の王子様と物語の世界に行ってしまうというオチもある映画でした。
この絵本では、
短い話の中で、心の中のことが描かれています。
鏡から、「あなたが一番美しい」 と、答えられていたお妃の心の中。
鏡から、「白雪姫が一番美しい」 と、答えられた際のお妃の心の中。
殺害計画を実行したはずなのに、確かめると、
「白雪姫が一番美しい」 と答えられた際のお妃の心の中。
やっと、計画が成功して、
「あなたが一番美しい」 という答えを引き出した際のお妃の心の中。
殺したはずの白雪姫が生きていて、花嫁になっていたことを知った際のお妃の心の中。
真っ赤に焼かれた鉄の靴を履かされ踊らされている際のお妃の心の中。
さらには、狩人に殺されそうになった白雪姫の心の中。
リボンやクシ。リンゴの誘惑に負けた白雪姫の心の中。
そして、美しい白雪姫を見たときの王子様の心の中。
小人達が美しい白雪姫に抱いていた感情。
描かれないのは、王さまの心の中と、成長した白雪姫の心の中のこと。
(まるで、そんなの関係ないみたいです!?)
やっぱり、グリム童話は… 深そうだなぁと、思いました。
文:岩瀬成子 絵:荒井良二
~ あらすじ ~
昔ある国に愛らしい赤ちゃんが生まれ、雪のように白かったので、
「白雪姫」 と名付けられました。
白雪姫のお母様は、すぐに亡くなられたので、
王さまは、新しいお妃を迎えました。
新しいお母様は、不思議な鏡を持っていて、
「国中で一番美しいのは誰?」 と尋ねては、
「あなたが一番美しい」 と鏡が答えるのを聞き、
うっとりと、鏡の中の自分を見つめていました。
白雪姫が7歳になったとき、
とうとう、鏡は、
「白雪姫が一番美しい」 と、答えてしまいます。
それからお妃は、白雪姫を憎むようになり、
白雪姫を見る度に心が乱れるのでした。
ある日、お妃は狩人に白雪姫を殺して肝を持ち帰るよう命じます。
狩人は、白雪姫を森に連れて行きますが、
「殺さないで」 と哀願する白雪姫をどうしても殺すことが出来ず、
イノシシを殺して肝をお妃に渡します。
お妃は、その肝をすっかり食べてしまいました。
森に残された白雪姫は、小さな家にたどり着きます。
その家には、7つの家具と食器と食べ物がありました。
それらから、少しずつ食べた白雪姫は、一つのベットで眠ります。
山仕事を終えて帰って来た家の住人、7人の小人達は驚きますが、
ベットで寝ている美しい白雪姫を見て、心が喜びで満たされます。
白雪姫の話を聞いた小人達は、城に帰らず家に留まるように言うのでした。
お城で鏡に尋ねたお妃は、白雪姫が死んでいないことを知ります。
お妃は、おばあさんの格好をし、色とりどりのリボンを入れたカゴを持って、
白雪姫のいる家を訪ねます。
家におばあさんを招きいれた白雪姫は、リボンで首を絞められてしまいます。
山仕事から帰った小人達は、倒れている白雪姫を見付けて慌てますが、
リボンをハサミで切ると白雪姫は元気になりました。
話を聞いた小人達は、「誰も家に入れてはいけない!」 と、白雪姫に、きつく言います。
また、お城で鏡に尋ねたお妃は、白雪姫が死んでいないことを知ります。
お妃は、小間物屋の格好をし、毒のクシを用意して白雪姫のいる家に向かいます。、
白雪姫は、「誰も家に入れてはいけない!」 と、きつく言われていたのに、小間物屋を家の中に入れてしまいます。
小間物屋に毒入りのクシで髪をとかしてもらい、床に倒れてしまいます。
山仕事から帰った小人達は、倒れている白雪姫を見付けます。
髪にささった毒のクシを見つけて抜き取ると、白雪姫は、元気になりました。
またまた、お城で鏡に尋ねたお妃は、白雪姫が死んでいないことを知ります。
お妃は、お百姓さんの格好をし、毒のリンゴを用意して白雪姫のいる家に向かいます。
「ドアを開けてはいけないの」 と言う白雪姫に、窓からリンゴを差し入れるお百姓さん。
リンゴを食べた白雪姫は、たちまち死んでしまいました。
お城に帰ったお妃は、鏡に尋ねて、やっと、「あながた一番美しい」 と、答えさせます。
山から帰った小人達は、なんとか生き返らせようとしますが駄目でした。
三日三晩泣きとおし、白雪姫をガラスの棺に寝かせました。
まるで生きているように見えたので、土に埋めることをしませんでした。
長い間、小人達は、棺を守り続けました。
森に迷い込んだ王子様が、ガラスの棺を見付けます。
ガラスのい棺に中に白雪姫を見て、たちまち心を奪われます。
小人達は、王子様の願いを聞き入れて、棺を譲ることを決めるのでした。
小人達が、棺を担いで進んでいるとき、一人が木の根っこにつまずきます。
その拍子に、白雪姫のノドに詰まっていた毒リンゴのカケラが飛び出し、生き返ります。
喜んだ王子は白雪姫にプロポーズ。2人は結婚することになります。
結婚式には、王さまとお妃様も呼ばれました。
お妃は、花嫁が白雪姫であることを知ると逃げ出そうとしますが、
真っ赤に焼かれた鉄の靴を履かされ踊らされ死んでしまいました。
えっとぉ…
7歳の白雪姫なのだから、
小人達に、「誰も家に入れてはいけない!」 と言われていても、騙されて開けてしまったり、
窓から入れられたリンゴも食べてしまったんですよね。
で、それから長い間、死んだような状態になっていて、王子様と出会い、結婚する。
が、そこには、恋愛とかいうモノは無くて、
一目惚れというか、「お姫様は王子様と結婚する」 という大前提があるわけです。
そして、
「王子様とお姫様は幸せに暮らしました」 と、結末も決まっているんですよね。お話ですから。
そこで、そこでちょっと、
『魔法にかけられて』 という映画を思い出しました。
映画では、
お姫様は、王子様とデートしたことも無いことに気付きます。(出会ったら結婚がオヤクソクだったのですから)
お妃の陰謀で、物語から抜け出してしまったお姫様は、迎えに来た王子様と物語の世界に帰る前に、
デートなるものをしようと、しちゃいます。
物語の王子様は、物語の王子様で、それ以上でもそれ以下でもない。
ところが、先に物語から抜け出てしまい、現実世界に入れられてしまったお姫様は、
物語の世界以上の経験(デートとかね)をしてしまっていたので、
物語の王子様では役不足(?)となってしまった。という話でしたが、
現実のバリバリOLが実は超ロマンチストで、物語の王子様と物語の世界に行ってしまうというオチもある映画でした。
この絵本では、
短い話の中で、心の中のことが描かれています。
鏡から、「あなたが一番美しい」 と、答えられていたお妃の心の中。
鏡から、「白雪姫が一番美しい」 と、答えられた際のお妃の心の中。
殺害計画を実行したはずなのに、確かめると、
「白雪姫が一番美しい」 と答えられた際のお妃の心の中。
やっと、計画が成功して、
「あなたが一番美しい」 という答えを引き出した際のお妃の心の中。
殺したはずの白雪姫が生きていて、花嫁になっていたことを知った際のお妃の心の中。
真っ赤に焼かれた鉄の靴を履かされ踊らされている際のお妃の心の中。
さらには、狩人に殺されそうになった白雪姫の心の中。
リボンやクシ。リンゴの誘惑に負けた白雪姫の心の中。
そして、美しい白雪姫を見たときの王子様の心の中。
小人達が美しい白雪姫に抱いていた感情。
描かれないのは、王さまの心の中と、成長した白雪姫の心の中のこと。
(まるで、そんなの関係ないみたいです!?)
やっぱり、グリム童話は… 深そうだなぁと、思いました。
『カエルの王さま あるいは鉄のハインリヒ』 [おはなしのたからばこ]
フェリシモ発行の本(童話)です。
大人のための小さな絵本ですので、漢字にルビはありません。
(閉じた状態で、タテ約15センチ、ヨコ約11センチの大きさです)
『カエルの王さま あるいは鉄のハインリヒ』 グリム童話
文:江國香織 絵:宇野亜喜良
~ あらすじ ~
はるか昔のころの話。
人々の願い事がきちんと叶えられていたころのこと。
王様の美しい末娘が泉に落としたマリをカエルに水底から取り戻してもらいます。
その際に3つの約束をします。
1.相棒にして一緒に遊ぶ。
2.テーブルの同じ食器で食事を一緒にする。
3.一緒にベットで寝る。
ところが、カエルからマリを受け取ると、末娘は走り去ります。
末娘の背中に向かってゲコゲコ泣いても聞こえません。
仕方なく、カエルは泉に戻ります。
末娘は、カエルのことなど、お城に戻るとすっかり忘れてしまいました。
次の日。
末娘が皆と食事をしていると、カエルが扉をたたきます。
扉を開けるとカエルが座っていました。
末娘は、扉をたたきつけるように閉めて夕食のテーブルに戻ります。
怯えている末娘の様子を見て、王様が理由を尋ねます。
カエルとの約束の話をした末娘に、王様は約束は実行せねばならないと言います。
末娘が扉を開けるとカエルは末娘に椅子に座らせるよう希望します。
王様は、椅子に座らせるよう末娘に命令します。
椅子に座らせると、テーブルにのせてくれと言います。
同じお皿で食べたいというのです。
いやいやしぶしぶ言う通りにした末娘に、お腹がいっぱいになったから一緒のベットで寝ようと言います。
末娘は怖ろしくて泣き出しますが、王様は、
「困っているときに助けてくれた者をあとでバカにしてはならない」
と、怒ってたしなめます。
末娘は2本の指でカエルをつまみ、自分の部屋に戻ると、カエルを部屋のすみに降ろします。
末娘がベットに入ると、ベットに抱き上げてくれるようにカエルが言います。
言う通りにしないと、王様にいいつけると言います。
末娘は怒って、力一杯、カエルを壁に投げつけます。
「これで静かに出来るでしょう。醜いカエル」 と言い放つお姫様。
ところが、床に落ちたカエルは、美しい目をした外国の王子様になります。
王子様は、悪い魔女にカエルの姿にされていたのです。
王様の希望で、王子様と結婚することになった末娘。
王子様の国に出かけることになります。
馬車で迎えに来た王子様の忠実な家来ハインリヒは、胸に鉄の輪を3個付けていました。
王子様がカエルに変えられてしまったことを悲しんで、
心臓が破裂してしまわないように鉄の輪を3個も付けていたのです。
ところが、馬車で王子様の国に向かう途中、ハインリヒの鉄の輪が弾け飛びます。
王子様が自由になり、幸福になったことをハインリヒが喜んだために鉄の輪は弾け飛んだのでした。
えっと…
カエルの王さまです。王子さまではないです。
ま、いっか。
それと、魔法が解けたのは、お姫様(末娘)が壁に叩き付けたから、です。
お姫様は王さまの言う事(命令)をよくきく娘のようですが…
いやいや、しぶしぶ… のようです。
忠実な家来であるハインリヒは、
王子様がカエルに変えられていたときは、(心臓が破裂しないようにと)はめていた輪は破裂しませんでした。
ところが、王子様が元の姿になり、美しい末娘を伴って城に帰る途中では、輪が破裂します。
悲しみで心臓が裂けることはなくても(?)、
喜びでは、その躍動で心臓が膨張する… みたいです。
胸が張り裂けるとよく言いますが、胸躍る方が強烈だったようです。
めでたし、めでたし!?
後日談が気になります。
大人のための小さな絵本ですので、漢字にルビはありません。
(閉じた状態で、タテ約15センチ、ヨコ約11センチの大きさです)
『カエルの王さま あるいは鉄のハインリヒ』 グリム童話
文:江國香織 絵:宇野亜喜良
~ あらすじ ~
はるか昔のころの話。
人々の願い事がきちんと叶えられていたころのこと。
王様の美しい末娘が泉に落としたマリをカエルに水底から取り戻してもらいます。
その際に3つの約束をします。
1.相棒にして一緒に遊ぶ。
2.テーブルの同じ食器で食事を一緒にする。
3.一緒にベットで寝る。
ところが、カエルからマリを受け取ると、末娘は走り去ります。
末娘の背中に向かってゲコゲコ泣いても聞こえません。
仕方なく、カエルは泉に戻ります。
末娘は、カエルのことなど、お城に戻るとすっかり忘れてしまいました。
次の日。
末娘が皆と食事をしていると、カエルが扉をたたきます。
扉を開けるとカエルが座っていました。
末娘は、扉をたたきつけるように閉めて夕食のテーブルに戻ります。
怯えている末娘の様子を見て、王様が理由を尋ねます。
カエルとの約束の話をした末娘に、王様は約束は実行せねばならないと言います。
末娘が扉を開けるとカエルは末娘に椅子に座らせるよう希望します。
王様は、椅子に座らせるよう末娘に命令します。
椅子に座らせると、テーブルにのせてくれと言います。
同じお皿で食べたいというのです。
いやいやしぶしぶ言う通りにした末娘に、お腹がいっぱいになったから一緒のベットで寝ようと言います。
末娘は怖ろしくて泣き出しますが、王様は、
「困っているときに助けてくれた者をあとでバカにしてはならない」
と、怒ってたしなめます。
末娘は2本の指でカエルをつまみ、自分の部屋に戻ると、カエルを部屋のすみに降ろします。
末娘がベットに入ると、ベットに抱き上げてくれるようにカエルが言います。
言う通りにしないと、王様にいいつけると言います。
末娘は怒って、力一杯、カエルを壁に投げつけます。
「これで静かに出来るでしょう。醜いカエル」 と言い放つお姫様。
ところが、床に落ちたカエルは、美しい目をした外国の王子様になります。
王子様は、悪い魔女にカエルの姿にされていたのです。
王様の希望で、王子様と結婚することになった末娘。
王子様の国に出かけることになります。
馬車で迎えに来た王子様の忠実な家来ハインリヒは、胸に鉄の輪を3個付けていました。
王子様がカエルに変えられてしまったことを悲しんで、
心臓が破裂してしまわないように鉄の輪を3個も付けていたのです。
ところが、馬車で王子様の国に向かう途中、ハインリヒの鉄の輪が弾け飛びます。
王子様が自由になり、幸福になったことをハインリヒが喜んだために鉄の輪は弾け飛んだのでした。
えっと…
カエルの王さまです。王子さまではないです。
ま、いっか。
それと、魔法が解けたのは、お姫様(末娘)が壁に叩き付けたから、です。
お姫様は王さまの言う事(命令)をよくきく娘のようですが…
いやいや、しぶしぶ… のようです。
忠実な家来であるハインリヒは、
王子様がカエルに変えられていたときは、(心臓が破裂しないようにと)はめていた輪は破裂しませんでした。
ところが、王子様が元の姿になり、美しい末娘を伴って城に帰る途中では、輪が破裂します。
悲しみで心臓が裂けることはなくても(?)、
喜びでは、その躍動で心臓が膨張する… みたいです。
胸が張り裂けるとよく言いますが、胸躍る方が強烈だったようです。
めでたし、めでたし!?
後日談が気になります。