『大いなる陰謀』 [映画]
「陰謀を企てる」 存在とは…
そして、企てられた陰謀によって、まんまと踊らされる存在… それは、他でもない我々です。
世界を変えるのは、何でしょうか?
ダレでしょうか?
… というのがこの映画のテーマ。だと思います。たぶん。
スゴイアクションとか戦争シーンがふんだんに有る。という映画ではありません。
この映画は、戦争映画というよりも、世界の人々に 「陰謀」 についての問題提起をした映画です。
とても 「語る」 映画です。
理論的で、講義を聴いているような映画です。
眠くなりますが、「眠ってはいけない」 と、自らを叱咤激励する必要(?)があります。
難しい映画では無いのですが… 時間軸も地理(位置、場所)も変化するため、眠っていてはモッタイナイ映画なんです。
あくまで、映画は、問題提起をしただけです。
観る者に結論や結果を委ねた(?)映画なのだと思います。
娯楽映画ではありません!
ご注意下さい!!
------------------ ネタバレ 注意 ----------------
少し気合を入れて書かねばなりません。
制作総指揮が上院議員役のトム・クルーズです。
ハーバードを優秀な成績で卒業した、ケネディーの再来と期待される逸材の役柄です。
信念を持って突き進む、強いアメリカを率いて行こうという熱意を持っています。
そして、監督と製作を兼ねたロバート・レッドフォード。
カルフォルニア大学の教授の役です。
教職に就いたのは、将来を担う若者の才能の開花に一役買いたいと考えたから。
将来を担う若者と関わることを楽しもうと考えていましたが、
現実は楽しいことばかりではありませんでした。
自分の限界を痛切に感じている。という設定です。
敏腕ジャーナリスト役のメリル・ストリープ。
彼女の聡明さは、かけている眼鏡で表現されているのでは。
そんな風に思えました。
マスコミの大罪について、自らも深く自覚するに至りますが…
マスコミ自体には、良心の呵責は無いように思えます。
権力を持つモノはモノであって、良心など無いのですよね。
あくまでも、良心を持つのは、ヒトであって、
権力を持つと、組織となると、マスコミであれ、政治であれ、
組織を守るために、権力が一人歩きする。
組織を守るための陰謀。それが… 「大いなる陰謀」 なのだと… 私は思います。
ジャーナリストと政治家の会談。取材。
秘密裏に進められている作戦について、リークする場面から始まります。
そして、すでに作戦は始まっていました。
作戦とは、秘密裏にタリバンの本拠地を壊滅させることでした。
その作戦に参加していた中に、2人の優秀なカルフォルニア大学の学生がいました。
カルフォルニア大学では、教授と同期生の面談が行われていました。
2人が志願することを止められなかった教授と残された生徒。
無力感に打ちのめされながらも、同じく優秀であるがゆえに虚無感に囚われている生徒を救おうと尽力します。
貧しい層の出身である2人が、その優秀な頭脳ゆえに希望の大学院に入れるとしても、
学費の負担は大きく、「志願し帰還すれば学費が免除されるという特典」(陰謀?) は、魅力でした。
アメリカの未来と自分たちの未来のために志願を決めたと夢を語る二人。
教授が、2人に、「生きて帰還するならばの話」 と苦言を呈しても、志願が覆ることはありませんでした。
優秀であっても貧しい若者が夢の実現のために選択したこと。教授にとっては、辛いことでした。
貧しい層の若者の未来は… 陰謀にからめとられやすいのです。
残された学生である優秀な生徒(オットコマエ~!)は、裕福な層の若者でした。
面談で、教授は自分の無力感に苛まれながらも、将来ある若者の未来を見届けるという夢を捨てきれずにいました。
優秀で裕福な若者。夢も将来も約束されているような若者が実際には虚無感に囚われ学習意欲を失くしている。
そのことを残念に思う教授なのですが、
それは、2人の友人が志願したことと無関係では無かったのです。
~全ては繋がり、関係している。大いなる陰謀のもとに~
この映画は、とても重い映画です。
映画館で娯楽で観て楽しむ類の映画ではありません。
戦場に赴いた2人がどうなったか。
タクシーから(戦没者の)墓地を眺めるジャーナリスト。
その脳裏に去来したことは何なのか…
直接に関与しなくても、戦地に駆り立てる報道をした責任について。
直接、戦地での指示をしなくても作戦に実施命令を出した政治家。
マスコミや政治の陰謀に踊らされる国民。
その責任はどんなに薄められようとも、国民一人一人が担うのだと…
そういう自覚を促す映画でした。
平和平和と浮かれる(?)日本にも無関係では無い映画で、
アメリカの抱える問題は、日本の抱える問題でもあるのだと…
そんな風に考えた映画でした。
コメント 0