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『ミスト』 [映画]

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嵐の夜の後の霧(ミスト)。
その霧は、山からわき、湖を這うように徐々に世界を覆っていくのでした。

人は、想像を超える体験をした際にどういう行動をするのでしょうか。
自らの手に余る問題を抱えたとき、何に救いを求めるのでしょうか。
拠り所にするのは、自分自身でしょうか。神なのでしょうか。

パンフレットの表紙の言葉は、
「この子と約束した 必ず守ると-」 です。

霧の中から現われる化け物から守ることを
息子は父に約束させます。

「おねがい。約束して。ボクを渡さないで」 

約束は、哀しい形で守られます。
希望を捨てたとき、人は生きる目的を失うのかも知れません。

自分の存在する意味について。
神の存在と絡めて考えるとき、敬遠な僕であるはずの姿が、
免罪符を得た権威として暴走するかもしれないのです。
十字軍や魔女狩りは、教会の権威を守るための暴走でしたが、
戦争は、国を守るためという免罪符を得た暴走なのかもしれません。
暴走の因子は、人の心に潜んで解き放たれるのを待っているのかも知れませんね。

原作者であるスティーブン・キングは、人の心に棲む魔を描き続ける作者です。
トンデモ悪魔や聖霊が登場することも多々あります。
今回は、人の心に棲む弱さが魔に変貌するさまを映像化しています。
(もちろん、とんでも化け物も登場します)
トンデモ設定だと笑い飛ばせないからこそ、キングの描く世界は人の心を捉えるのだと思います。

息子役のネイサン・キャンベル。
映画 『バベル』 では、ブラッド・ピットの息子役を演じました。
これほど愛おしい息子役は滅多にいないと思います。
不測の事態に巻き込まれ翻弄される役を、『バベル』 同様、
演技とは思えぬ演技で演じきっています。
素晴らしいと思いました。

映画では、たくさんの異形のモノたちが登場します。
この世のモノとは思えぬ姿形は、本当に、別世界からの訪問者という表現が適していると思います。
特撮って凄いですね。

美しく儚い天使のような少年と異形のモノたち。
自分を守ることのために他人を貶めることを憚らない人々。
希望を信じる美しい心と、人の心の奥に潜む魔(エゴ)の心。
それらが映像によって展開されていくさまを観ることが、
自分の心に引きつけることが、映画を観る醍醐味なんだと思いました。[わーい(嬉しい顔)]





以下、ネタバレバレ。注意願います!










ラスト。
私は… 祈るような気持ちで観ていました。
どうしてそうなるのか…
どうしてそうしてしまうのか…

極限まで追い詰められた末のハッピーエンドが好きなので…
そこに勇気や希望を見い出すことを醍醐味と感じていたので…
希望の否定がもたらす結果は、当然とはいえ残念でした。

この希望の否定こそが、
「希望を最後まで捨てない!」 というメッセージであると、反対に映画を観て思いました。
そして、私は、決意を新たにするのでした。

    [ぴかぴか(新しい)]  [ぴかぴか(新しい)]  [ぴかぴか(新しい)]

「絶対に、最後まで、最後の瞬間まで… 諦めないぞぉ!」






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コメント 2

Yakoha

こんにちは。「ミスト」、「映画」、で検索しておじゃましました。
これは後味悪いエンディングでしたよねー。
by Yakoha (2008-05-28 01:38) 

元気

Yokoha さん、こんにちは。
本当に… 後味悪かったですね。

預言者気取りの女性への対応も後味悪かったです。
銃で解決せぬこと多いです。
その警鐘かもしれませんね。(な~んちゃって!)
by 元気 (2008-05-29 13:44) 

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