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『クワイエットルームにようこそ』 [読書]

クワイエット.jpg

映画も公開されているのですが、観てません。(とっても面白そうです)
独特の世界観のある、とっても面白い作品でした。
作者は、松尾スズキ。初体験でした。[揺れるハート]

クワイエットルームとは、
閉鎖病棟唯一の 「内側からノブが回らない部屋」 のこと。
自分に、あるいは他人に危害を与える可能性があるから隔離され、
必要なら拘束されて治療を受ける部屋です。
自分の意思での退室が不可能なために、「内側からノブが回らない部屋」 なのです。
軽いノリの(?)心療内科とは腰の据わり方が違う、いわゆる 「精神病院」 。
開放病棟と閉鎖病棟がある中の閉鎖病棟。一部屋しかない、「内側からノブが回らない部屋」
その緊急性と重篤性が… スゴイです。

そもそも病気とは、通常では無い(健康ではない)状態のことです。
骨折。熱。湿疹。下痢する。血便、喀血、痛み… 
それらの体の症状があれば内科なり外科なりに行くのですが、
通常ありえないくらいの異常な行動をした場合、で、緊急の場合は、
精神の病として、精神病院に入るようです。
主人公の場合は、クスリ。オーバードーズ。
嫌いで飲まず、モッタイナイから捨てずに貯めていた精神安定剤をビールのツマミよろしくポリポリと食べてしまった。
軽いノリ(?)で。
いえ、きっと、もう、ヤケッパチで。色々なコトが面倒になって。
その結果が目覚めたら、「クワイエットルーム」 だったわけです。
で、閉鎖病棟の入院には2種類あって、本人の任意の場合と保護者の意向の場合。
その保護者が退院の許可の出せない僻地に行ってしまったら…
もう、そこ(閉鎖病棟)にいないといけない。退院できないワケです。
危害を加えないことが分かれば、クワイエットルームから、
「内側なかノブの回る部屋」 に移動出来るのですが、退院は出来ないワケです。
物語は、そんな主人公の退院までの物語なのでした。

とにかく、その表現力、観察力、物語の展開が凄く上手いです。
テンポ良く、自然に、時には強引に、グイグイと引っ張ってくれます。
で、読み終えると、なんともはやの脱力感というか、なんというか…
生きるって、大変なことなんだ。
と、今さらながら(?)、思ってしまった作品なのでした。
「今」 に乗っかって生きる人って、プレッシャーきつくて(?)、大変なんだよなぁと、
(自分が今を生きてないわけではないのですが)
本の中に引き込まれながらも、本の外にいる自分を感じてしまいました。
精神病院にも閉鎖病棟にも、クワイエットルームにもいない自分。
その安堵と、倦怠と焦りみたいなモノを感じずにはいられない作品なのでした。
それは、異端、異邦人の自覚しだいなのかも。

寄せ書きの書かれた色紙と携帯番号の書かれてメモ。
それらが象徴的なモノとして描かれています。
入院していた思い出(?)がどのようなモノであるのか。
その体験や経験、痕跡は消してしまいたいものなのかどうか。
人ってどうよ。みたいなことを色々と考えてしまう、とっても面白い作品なのでした。

松尾ワールドに魅了された私。
アマゾンで数冊注文。読みました。やはり面白い。
人に勧めるかは別として、面白い。私好みの壊れ具合(?)なのでした。[どんっ(衝撃)]

『クワイエットルームにようこそ』 は、人に勧めたい作品だと思いました![わーい(嬉しい顔)]
ぜひとも、松尾ワールドへ。[揺れるハート]

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コメント 2

mirai

どんな小説なのか興味を持ちました。
図書館にあるかな~?

by mirai (2008-10-02 20:21) 

元気

図書館に、ありますよ。きっと!

とっても面白いし、薄いし、読みやすいし…
まずは、本屋で立ち読み。してみては?
読み終えちゃったりして。 (笑)
by 元気 (2008-10-02 21:24) 

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